環太平洋パートナーシップ

    
 
 


 
 とにかく、バンクーバーは、
 びっくりする程、同じ文化圏でした。

 英語も、東海岸とは全然違います。
 聞き取りやすいし、日本人の英語も、通じます。
 アジアからの移民を受け入れて来た実積ですね。
 私達がうろうろしても、誰も見たりしません。

 とはいえ、日本人はほとんどいません。
 第二次世界大戦で、日系カナダ人は、
 財産を没収され、抑留を受けた、という悲しい歴史を持っています。
 ほとんどの東洋人は、中国人で、
 バンクーバー全人口の3割を占めています。

 彼らは、華僑ではなく、
 1990年代、香港の中国返還の時の移民です。
 バンクーバーは、「ホンクーバー」の異名を持っているほどです。
 彼らは、私達が目にする中国人とは違い、
 元々がイギリス国民だったので、立派に街に溶け込んでいます。

 バンクーバーは、海も山もあり、街は、整備された都会です、
 まるで、神戸でした。
 治安も良く、清潔です。スラムや物乞いは、いません。
 インフラも整備されていて、地下鉄やバスは、5分待てば、来ます。
 ラッシュで混むようなことは、ありません。

 うちらは、山に登ったり、シーサイドを歩いたり、
 水族館へ行ったり、公園をハイキングしたりして過ごしました。

 何度も道に迷い、何度もバスを乗り間違え、
 慣れたはずの地下鉄さえ、路線を乗り間違えました。
 逆向きに乗り換えないと、目的地にたどり着けない、
 ということを繰り返しました。
 やっぱね、都会になればなるほど、難しいもんです。

 でも、そのたびに、「どうしたの?」「大丈夫?」「わかる?」
 と、すぐに声をかけられます。
 私達は、海外で、さんざん痛い目に遭っているので、
 そうやって近付いてくる人に、心を許してはいけません。

 でも彼らは、ものすごく遠い道のりを、解るところまで付いて来て、
 「ハバグッデイ」と言って、手を振るんですよ。
 3回目にやっと、ただの親切心だと解りました。

 これはきっと、
 オリンピック開催地の市民のホスピタリティーなんですね。



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